世界が終わるとき、そこに愛はありますか

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深景さんが車を止めた場所は、有名な超高級ホテルの前だった。


食事やサービスが日本一だと言われていて、高層から見下ろす夜景が綺麗だという噂だ。


今はまだ日が傾いてきたばかりだから、もう少ししたら夜景が見れるかもしれない。


あたしたちが車から降りると、数人のスタッフさんが出迎えてくれた。


重厚感溢れる扉が開き、恐る恐る足を踏み入れてみると、吹き抜けのロビーのど真ん中にライトアップされた噴水が置かれていた。


どこからか聞こえてくるピアノのメロディが心地良い。


「お待ちしておりました、五十嵐様」


60代くらいのお爺さんが深々と頭を下げた。


深景さんってやっぱり凄い人なんだ…。


あたし、場違いじゃないかな…。
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