世界が終わるとき、そこに愛はありますか
華さんに直接聞きたいけど、素直に教えてくれるとは到底思えない。


それに今、彼女は深景さんと一緒にいる。


そんなところで聞けない。


あたしが犯人探しをしてると知ったら、きっと深景さんは危険だって止める。


…逆に言えば、深景さんが近くにいない今がチャンス。


「涼なら……」


涼なら教えてくれるかもしれない。


あたしが叔父に拉致されて以来、涼とは連絡を取っていない。


いつも向こうから送ってくれていたメッセージがパタリと止んでしまったんだ。


「…迷ってる暇はないよね」


いつ深景さんが戻ってくるか分からない。


─プププ…プププ…

─プププ…プププ…


「…出ないなぁ…」


いつも、すぐに電話に出てくれていたのに。


『お掛けになった電話番号は…』


…繋がらない。


涼にしては珍しい。
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