世界が終わるとき、そこに愛はありますか
「…もっと早く知りたかったな…」


ううん…。


もっと早く知ってても、結果は同じだったのかな。


きっと深景さんは、あたしと付き合うつもりはない。


あたしも深景さんのことが好きなのに…っ。


「…なんで…?」


なんで、あたしたちは付き合えないの…?


あたしなら全然大丈夫なのに。


深景さんが一緒なら、なんだって頑張れるのに。


どうして分かってくれないの…?


「…あれ……」


ダッシュボードの隙間から、茶色い紙がはみ出ている。


車に乗ったとき、こんなの入ってたっけ…。


見つけてくれと言わんばかりの飛び出し具合。


本当に見られたくないものなら、こんなところに杜撰に管理するはすがない。


それに、この車内は外からじゃ見えないようになっている。


さっきまでとは違う鼓動の速まりを感じる。
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