世界が終わるとき、そこに愛はありますか
あたしが強く言い切ると、深景さんは小さく頷いて、ロッジの鉄扉を引いた。


木造建築に不釣り合いなこの鉄扉。


仕事のために深景さんが改装したのかもしれない。


こんな山奥じゃ誰も通らないだろうから、拷問するにはもってこいの場所だ。


「あの奥の扉の向こうに、藤堂沙紀がいる」


家具は何もないけど、どうやらラウンジらしき空間があり、その奥に1つだけ扉がある。


その扉も重そうな鉄だ。


ロッジの中だと言うのに、枯れ葉がたくさん足元に落ちていて、割れた窓ガラスも辺りに飛び散っている。


まだ日が沈む前だからいいものの、夜になると不気味な空間になるだろうな。


入り口の鉄扉を閉めても、木々のざわめきや冷たい風の音は聞こえてくる。


かろうじで割れずに残っている窓ガラスを、風が勢いよく叩いている。
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