世界が終わるとき、そこに愛はありますか

「…大丈夫か？」


隠していた緊張が伝わったのか、深景さんの手があたしの手に重なった。


「…今から、アイツに会うんだよね」


最後にアイツと会ったのは、殺されかけたあの日だ。


もう二度と会いたくないと願った相手。


そんな女にいざ会うとなれば、やっぱり胸騒ぎがして、気分が悪くなってくる。


過去の痛みや苦しみ、姉を失った悔しさがトラウマとして込み上げてくるんだ。


「会いたくないなら車に戻ってもいい。俺は別に無理強いしないから。そもそも、こういう仕事に一般人を同席させることの方がレアケースだし」


……ううん。


アイツが苦しむ姿、泣き叫ぶ姿をこの目に焼き付けたい。


あの女への復讐はずっと願ってたから。


すべての元凶はアイツ。


「…あたしは平気だから、行こ」