世界が終わるとき、そこに愛はありますか
一歩一歩、奥の部屋へ近づいていく。


元々そんなに広くないロッジだ。


扉の前にはすぐにたどり着いた。


「好きなタイミングで開けろ。お前に任せる」


心臓がドクドクと暴れ回っている。


緊張、不安、トラウマ。


身体中の血液が高速で駆け巡っている。


そんな感覚だ。


憎しみ、嫌悪、そして殺意。


いろいろな感情が真っ赤な血液と共に走っている。


「落ち着け、雪花」


深景さんに背中をさすられてはじめて、呼吸が荒くなっていることに気づいた。


「やっぱりお前は車で…」


「嫌だ。外見を取り繕うことしか能がないアイツの悲惨な有り様を見たいの」


アイツのブランド品に消えていった姉のお金。


あたしを叔父に売って稼いだお金だって、あいつの私利私欲のために消えていった。


あたしたち姉妹は何も食べるものがなかったのに。
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