世界が終わるとき、そこに愛はありますか
「…開けるね」


生まれてからずっと恨んでいた女との対面。


キィィ…という気味の悪い音と共に、ゆっくりと扉が開く。


「いや…っ!!来ないでぇ!!」


扉の隙間から、ガスガスの汚い声が流れ出てきた。


「…あたしが何度もそう言ったとき、アンタどうしたっけ」


バンッと音をたてて、勢いよく扉を開けきる。


中には、硬そうな椅子に後ろ手に腕を縛られ、足も足首で縛られている母親がいた。


コートを着込んでいても寒い真冬のこの中で、半袖に半ズボンという格好をさせられている。


その腕や足には、みみず腫、かすり傷、火傷の痕、打撲した痣、切り傷、など数えきれない傷口がある。


白髪まみれの髪の毛はボサボサで、床に何本も抜け落ちている。

 
「雪花が来るから、やり過ぎんなっつったろ」
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