世界が終わるとき、そこに愛はありますか
ボソッと深景さんが呟く先には、ザキさんがいた。


ナイフや革製の鞭、タバコなどを持ったまま部屋の隅に立っている。


「…こんなの、雪花さんが負った傷のほんの一部っすよ」


ザキさんの声は暗かった。


たしかあの日、助けてくれたのがザキさんだった。


「…これ、ザキさんがやったの?」


「そうっす。雪花さんにはさせらんないっすから」


…あたしの復讐って、こんなもんだったんだ。


「助けて…雪花……」


〝助けて〟


誰も助けてくれなかった。


〝もうやめて〟


やめてくれなかった。


〝許して〟


虐待は激化した。


〝痛いよ〟


SOSは届かなかった。


〝ごめんなさい〟


あたしはいったい何に謝っているんだろう。


何も悪いことはしてないのに。


〝お願いもうやめて〟


どんなにすがっても無駄だった。


〝苦しい〟


息ができなかった。


人生そのものが罰ゲームだった。


〝誰か助けて〟


「誰も助けてくれなかった…っ!あたしのSOSは誰も受け取ってくれなかった…っ!!」
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