世界が終わるとき、そこに愛はありますか
彼の温かい手があたしの頭に触れる。


「……俺らに任せてくれたら、死よりむごい結末だって用意できる。な?こういうことはプロに任せな」


深景さんはフッと笑った。


そして、彼の重みが体から消える。


「…俺の大事な女をこんな目に遭わせた罪は重いから覚悟しとけ」


地を這うような低く威圧的な声。


完全に仕事モードに切り替わったんだ。


〝お前は幸せになっていいんだよ〟


彼がくれた言葉が、いきり立った胸に安らぎを与えてくれた。


水のない砂漠の地に降る恵みの雨のように…。


あたしの燃え上がった炎を消してくれる。


「お前を待ってるのは地獄…。雪花が過ごしてきた生き地獄だ。助けなんて来ない異国の地で、奴隷として死ぬまで働き続けるんだな」


吐き捨てるような言葉。


深景さんの目は光を宿していなかった。


真っ黒で、ただただ冷たい。
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