世界が終わるとき、そこに愛はありますか
『この銃撃戦だって、暴力団の抗争なんじゃないの?一般人が巻き込まれたんならきっとニュースに書いてあるよ』


「違う…っ」


深景さんは…っ。


『違うって?』


…言えない。


深景さんがヤクザだなんて、言えない。


「なんでもない。ごめん、あたし、探さなきゃいけない人がいて…。もう切るね」


『待って!よくわかんないけど、深景さんはこの銃撃戦に関わってるんだよね?で、その深景さんを探すんでしょ?あたしは、雪花に危険なことはしてほしくない』


奈津…。


「ごめん。探しに行かなきゃ」


もしどこかで動けなくなってたら、あたしが助けに行かなきゃいけない。


『雪花。気をつけなよ?あんたに何かあったら悲しむ人間はちゃんといるんだから』


愛結……。


「ありがとね」


そんな言葉をかけてもらえる日が来るなんて…思ってもみなかったな。


『あたしも奈津も、雪花のことが大好きなんだから。ホント、気をつけてね』


「ありがとう。じゃあ…バイバイ」


無理に引き止めない二人の優しさを感じながら、あたしは家を飛び出したのだった。
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