世界が終わるとき、そこに愛はありますか
タクシーを拾って病院に向かう間も、涼に電話をかけ続けていたけど、繋がることはなかった。


「あっ、ここでいいです。いくらですか?」


病院付近にタクシーを近づけるわけにはいかない。


ここから病院までは走ったら数分。


朝から走るのはキツかったけど、早く深景さんに会いたい。


会って安心したい。


普通の家のような扉を明け、一風変わった病院へ飛び込む。


「深景さん…っ」


待合室には誰もいない。


真っ赤なリップの看護師さんが二人、無表情で立っているだけ。


「あの、深景さん来ませんでしたか?」


「五十嵐様なら、奥の診察室にいらっしゃいます」


やっぱり来てたんだ…。


「怪我は?深景さん、撃たれたんでしょ?」


「それなら心配ありません。命に別状はないので」


よかった……。


命に関わる怪我じゃなくてよかった…。


「ここで待っててもいいですか?」


「えぇ。ご自由に」
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