世界が終わるとき、そこに愛はありますか
近くの椅子に腰掛け、待つこと数分。


右手首に包帯を巻いた深景さんが待合室に戻ってきた。


「お前…なんで…」


「銃撃戦があったって聞いて心配で…」


深景さんに駆けよると、彼の表情は一層曇っていった。


「なんで来たんだよ。危ないだろ」


ジロッと睨み付けられてしまった。


たったそれだけのことで、あたしの不安定な心は音を立てて割れてしまうんだ。


「…浅香は、唯の失踪を俺のせいだと思ってる。今のアイツは危険だ。お前も傷つけられるかもしれないんだ。今後、俺の許可なく外出するなよ。わかったな」


深景さんは、外に止めてあった車に乗り込みながら、責めるようにぶっきらぼうな口調で言った。


「…心配だっただけなのに」


心配で心配で、いてもたってもいられなくって無我夢中で探したのに。
< 416 / 490 >

この作品をシェア

pagetop