世界が終わるとき、そこに愛はありますか
「チッ。お前を守るために言ってんだよ」


心配で探し回ったのに疎ましがられるだけなんてあんまりだ。


「あたしは会えて嬉しかったのに」


怪我はしてても、なんとか無事な姿で会えて嬉しかったのに。


あからさまに嫌な顔をする必要なんてないじゃん…。


「…とりあえず乗れよ。こんなところで話してても仕方ない」


運転席から助手席の扉を乱雑に開ける深景さん。


前は助手席側に回り込んで外から開けてくれたのに。


やっぱり怒ってるんだ。


「お前、銃撃戦の現場に行ったろ」


深景さんが口を開くと同時に車が発進した。


「なんで知ってるの?」


あのとき、警察以外誰もいなかったはずなんだけどな。


「やっぱり行ったんだな」


…カマかけたんだ。


卑怯だ。


あたしはただ心配してただけなのに。
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