世界が終わるとき、そこに愛はありますか
「停めて」


最低。


感謝しろなんて一ミリたりとも思ってない。


けど、文句ばっかり言われたら、たまったもんじゃない。


「停めてって言ってんでしょ。今すぐ降ろして」


「そんなすぐに停めれるわけねぇだろ。考えろ」


そんな言葉と共に吐き捨てられる舌打ちとため息。


舌打ちしたいのも、ため息つきたいのも、あたしの方だ。


交差点をUターンしてから、ゆっくり路肩に停まる車。


「なんか勘違いしてそうだから釘をさしとく。悪いけど、俺はお前には本気になれないから」


「……バカみたい」


歩道に降りた途端、雨が降りだしてきた。


まるであたしの涙を隠すように…。


助手席のドアを閉める前に、座席に置かれた傘。


「いらない」


「あっそ」


重たい雨は容赦なく降り注いでくる。


「あぁ、それと───」


大型トラックが走り去る音に紛れて聞こえてきた言葉は、衝撃的なものだった。


そして、衝撃を受けてるあたしを置いて、彼は去っていってしまったんだ。
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