世界が終わるとき、そこに愛はありますか
深景さんの連絡先は知らないし、唯さんは殺された。


こんなときいつも頼っていた涼は今や敵。


愛結や奈津をこんな危険なことに巻き込むわけにはいかない。


あたしが連絡先を知ってる人はそれで全部。


誰にも助けを求められない。


こうなったら、外に出て深景さん家に駆け込むしか方法はない。


けど、そんなことできる…?


涼がみすみすとあたしを逃がすわけない。


ヘタに逃げたら何されるか…。


どうしよう…。


涼が気づいてないことに賭ける…?


平静を装って、しばらく涼と過ごして、タイミングを見計らって逃げる。


それ以外の方法はない。


あたしに演技ができるかな…。


お姉ちゃんを殺したかもしれない男の前で、何も知らないフリできるかな…。


いいや。


やるしかない。


そうする以外に、切り抜けられる道はないんだから。
< 452 / 490 >

この作品をシェア

pagetop