世界が終わるとき、そこに愛はありますか
一か八か、玄関へ向かって走り出す─。


「きゃっ」


涼に足を引っかけられ、ハデにコケてしまった。


「逃げてもムダ」


ヒザとヒジがズキズキ痛み、立ち上がることもできない。


狂気に満ちた涼がポケットから白錠剤を取り出して近づいてくる。


「いやっ!!来ないで!!」


腰が抜けて力が入らない体を無理やり動かして玄関の方へ後ずさる。


「逃がさない」


足首を掴まれ、グイッと涼の方へ引き戻されてしまった。


そしてそのまま、涼があたしの上へ乗っかってくる。


「嫌だ…やめて……」


死んだ魚のような目にあたしが映った。


白い錠剤があたしへ近づいてくる。


「んーーーっ」


口を開けるもんか…っ。


開けたら殺される。


まだ、死にたくない…っ。


復讐が終わるまでは死ねない…っ。
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