世界が終わるとき、そこに愛はありますか
「口を開けろ」


「んん!!!」


絶対に開けない。


こんなところで殺されてたまるか…っ。


「開けろっつってんだよ!」


─パンッ


怒号とともに飛んできた平手。


女を叩く強さじゃない。


痛みと悔しさ、恐怖、そして、涼に叩かれた悲しさとで、ジワジワ涙が込み上げてくる。


「姉妹揃って往生際が悪いな」


涼があたしの鼻をつまんできた。


これじゃそのうち呼吸が…っ。


「んーーーっっっ」


このまま口を閉じていても、開けてしまってもどのみち死ぬ。


─グッ


「っ!?」


首が圧迫されている。


涼があたしの首を…。


ツーー


涙が顔を伝う感覚があった。


「…なんで泣くの?」


ゆっくりゆっくり、喉の圧迫が緩くなっていく。


「苦しい思いしたくないなら、睡眠薬飲んで。寝てる間にあの世に行けるから」 
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