世界が終わるとき、そこに愛はありますか
「藤堂、もうやめろ。コイツは、お前に撃たせようとしてんだよ。お前の復讐を叶えるために」


違う。


この人はそんな綺麗な人間じゃない。


「好きな女の願いを叶えるために、命を捨てようとしてんだよ!こんな男にカッコつけさせてたまるか!」


「うるさい!」


深景さんはあたしのことなんて何とも思ってない。


何とも思ってないんだ─っ。


許さない─っ


お姉ちゃんを殺めたことは絶対に許さない──


「アァァァァァァァァッッ!!!」


許さない、許さない、絶対に許さないッ。


こんな男、死んじゃえばいいんだ……っ!!


目を伏せた深景さんが、ザキさんの陰から飛び出す。


見開かれるザキさんの目。


あたしへ伸びてくる浅香さんの手。


あたしの頬に雫が伝う。


─パァンッ
─パァンッ


2発の銃声が響く。


赤く染まった世界で、深景さんが胸を押さえて膝から崩れ落ちる。


「ゆ…か……。ごめん……な」


たった今、世界が終わった。


煙を巻いた銃が一丁、床に転がっていた。


あっけなく、世界が終わった─。
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