世界が終わるとき、そこに愛はありますか
優しいけど芯のあるトーンで涼は語った。


「…まぁ、どうするかは雪花ちゃん次第で、俺がとやかく言う権利ないしね。好きすればいいよ。今の話を忘れないって約束してくれるなら、ね」


言われなくたって分かってる。


ヤクザと関わるのは危険だってことくらい。


涼が心配してくれてることもよくわかってる。


「…深景さんって不思議だよね。初めて会ったのにこんなに惹かれるんだもん」


「…そうだね」


車内は再び沈黙に包まれる。


外の雨は穏やかに降り続いていた。


「あたしの家、そこを右折してしぼらく直進」 


「わかりました」


帰らなきゃいけない。


今夜はいつもより帰るのがツラい。
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