世界が終わるとき、そこに愛はありますか
フローリングの床に数滴の涙が落ちる。


「アンタから貰った茉莉愛の遺産、使いきっちゃったのよ。だからお金借りに来たの。けどこの子ったら貸してくれなくてねぇ。アンタからも頼んでやってよ」


「…あたしから〝貰った〟?」


そう、言い返すのが精一杯だった。


何の感情かわからない黒くてドロドロした感情が制御できなくて、手も唇も震えて、上手く喋れない。


「そうよ。忘れちゃったの?茉莉愛が死んだ後、ぜーんぶアンタがアタシにくれたじゃない」


違う…っ。


「…あた…あたしはアンタに1円足りとも渡してない…っ!!

アンタが無理やりあたしから奪った!!

当時のオトコと一緒にあたしのところへ来て、〝カネを渡せ〟〝カネはどこだ〟

お悔やみの言葉なんて何もなかった…っ。

謝罪も!感謝も!何もなかった!!!

〝茉莉愛が死んだのは本当か?本当ならカネを渡せ〟

お金を渡さなかったあたしをアンタは昔みたいに殴った。

初めからそのつもりでオトコを連れてきたんでしょ?

そうやってアンタは力ずくでお姉ちゃんの遺してくれたお金を奪っていった…っ。

…許せない…。

アンタが憎い…っ。

憎くて憎くてたまらない…っ」
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