世界が終わるとき、そこに愛はありますか
「何があったか聞かないほうが良いっすか?」


「…うん」


「…そうっすか。すみません、何もできなくて」


ザキさんはそう言って目を伏せ、辺りに沈黙が流れる。


けど、重い沈黙ではなくて、側にいてくれるザキさんの優しさを感じられる、そんな沈黙だった。


それから数分…十数分が経っただろか。


一台の高級車があたしたちの目の前に停まった。


運転席から降りてきたのは、前会ったときとは違いラフな格好をしている深景さんだ。


路肩に座り込んで血を流しているあたしを見下ろし、チラリとザキさんを見る。


その目は冷たい。


「…お前が運転しろ。俺はコイツと後部座席に乗るから」


不機嫌極まりない様子の深景さんに、ザキさんの表情は暗い。
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