世界が終わるとき、そこに愛はありますか
「…迷惑かけてごめんなさい…」


忙しいなかわざわざ来てくれたのかもしれない。


だとしたら本当に申し訳ないな…。


「別に迷惑じゃねーよ。いいから乗れ。話はそれからだ」


深景さんはぶっきらぼうにそう言ってあたしをヒョイと持ち上げる。


「お前軽。ちゃんと飯食ってんのか?」


「…まぁ」


後部座席に座らせてくれ、律儀にシートベルトもつけてくれた。


そして深景さんはあたしの隣に乗り込み、ザキさんは運転席に乗る。


数ヵ月前の出逢いを思い出す配置だ。


車が動き出し、しばらくすると深景さんは口を開いた。


「…何があった?」


「……言いたくない」


話したくない。


口に出すのもおぞましい。
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