世界が終わるとき、そこに愛はありますか
「悪いけど、こんな不健康そうな臓器カネになんねぇからお断りだよ」


開口一番、葛原先生は物騒なことを言う。


やっぱりこの場所は裏社会の人間が来る場所なんだ。


「んなことは言われなくても分かってる。次何か売るときは格安で売ってやるから、こいつにまともな治療してやって」


深景さんの受けとる利益からあたしの治療費を出してくれる。


そういうことだろうか。


「やだね。めんどくさい。今すぐカネになんねぇ仕事に興味はない」


「次安くしてやるっつってんだろ」


無精髭、ヨレヨレの白衣、書類まみれの散らかったデスク。


「今カネ払ってくれるんなら引き受ける。それ以外は拒否」


「チッ。いくらだよ」


「んー、まっ、100って言いたいとこだけど60でいーよ。60払ってくれるんなら治してあげる」


お金への執着心、話し方の汚さ。


……この人に治療されるのは嫌だ。


信用できない。

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