世界が終わるとき、そこに愛はありますか
「あたしやっぱり─」


「わかったわかった。払うからさっさと治療してくれ」


60万円も払ってこんな人の治療を?


冗談じゃない。


「お嬢ちゃん、俺のこと信用してないっしょ?顔に書いてあるよ。不快ですって」


ケタケタ笑い、ゴミ箱にペッとガムを吐き捨てる。


「コイツは悪徳だけど腕は良いから安心しろ。そこらへんの医者よりははるかに優秀だ」


深景さんはそう言ってあたしを診察台に寝かせてくれた。


正直、恐怖でしかない。


医師免許を持ってるのかすら怪しいこの男の治療を受けるなんて…。


「まっ、めんどくさいからとりあえず麻酔しよっか。全身麻酔でいいよね?」


「えっ!?ちょっ─」


説明を受ける間もなく、拒否することさえもできないまま、緑色の麻酔用マスクを押し当てられる。


眠りたくない─。


その意に反して、あたしの意識は瞬く間に遠退いていったのだった。

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