世界が終わるとき、そこに愛はありますか
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目が覚めると、眠った時とはまるで違う天井が視界に飛び込んできた。


ベッドもふかふかだ。


「…ここ…は…」


軋む身体を無理に起こし、辺りを見回すと、パソコンに向かって作業している深景さんの姿があった。


「…深景さん、ここは…?」


病院…じゃないよね。


あの病院より明らかに綺麗だ。

 
「あー、目覚めたか。ここは俺の家だ。葛原が入院する必要はないっつーからとりあえずここに連れてきた」


深景さんの家…。


「…迷惑かけてごめんなさい……」


本当に迷惑かけっぱなしだ。


病院に行きたくないと駄々をこねた結果、闇医者に大金を払わせてしまった。


忙しいはずなのに、麻酔で眠ってるあたしを家まで運ばせてしまった。


申し訳ないな…。


「お前さ、そーやってすぐ自分のことを責める癖、直した方がいいよ。お前は何も悪くないじゃん。違う?」


強い語調だけどトゲはなく、優しさを感じる。


この人は本当に優しい人なんだな…。


「……ありがとね」
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