世界が終わるとき、そこに愛はありますか
「ねぇ深景さん」


「ん?」


〝唯さんってどんな人?〟


その質問が喉まで出かかったけど、言えなかった。


昨日あたしを抱きながらも、深景さんの頭の中は唯さんで占められていたんだろうか。


深景さんにとって唯さんはどんな存在なのか。


知りたい。


知りたいけど、聞けない。


何となく触れちゃいけない気がして。


「……今日夕飯いる?」


そんなくだらない質問に逃げてしまうんだ。


「作ってくれんの?」


「うん。今日土曜日だから学校ないし」


「じゃあ食う。たぶん6時頃に1回帰ってこれるからそんときに食うわ」


好反応を示してくれただけで胸が弾む自分がいる。


深景さんに喜んでもらいたい。


料理を褒めてもらいたい。


〝美味しい〟って言ってもらえるように頑張ろう。
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