キスの予約【短編】
3.キミだけに
「あー腹へった…」
なんて呟きながら、裏庭を歩いていたとき、そこにいたのは…
「あははっバカじゃん!」
「いやいや、バカなのはそっただろ!」
「しょうがないなぁ。じゃあ、今度ケーキつくったげるから!ねっ?」
優雨とじゃれあう男の姿。
…なんだ、彼氏と仲直りしたんじゃん。
「…………」
せいせいした。優雨が来ると調子くるうし、仕事減るし、他の女は嫉妬してめんどくせーし……良かったじゃん。
…せいせいしたはずだろ?
なのに、この胸に残るモヤモヤは…なんだ?
優雨がいないと寂しいと思ってる自分がどこかにいる。
優雨が他の男とイチャついてるとイライラする自分がいる。
これは………恋?
そうか、俺は……優雨が好きなんだ。
「はっ…だっせぇ。好きだって気づいた瞬間、失恋かよ。ばかだな、俺…」