どうせ恋は炭酸飲料みたいなもの
「そういえば、拓真。今日は、生徒会の仕事は?」
「ああ、今日はないな。明日あたりから、委員会の仕事も始まるから、忙しくなるかもな」
久世拓真という人間は、生徒会長であり、テストではいつでも一位で、スポーツもまんべんなくこなすが、鼻につくところがなく男女問わず人気が高い。
生徒からの人気が高いからか、先生からも一目置かれている。
「あーあ、どうして放送委員になったんだろ」
面倒そうに唇を尖らせた一ノ瀬世羅は、生まれながらの茶色い髪ではつらつとした性格から勘違いされがちだが、純粋で恋を夢見る女の子だ。
時に、見た目だけで判断されて、傷つくこともあるけど悪口や恨み言を言うところを私は見たことがない。
「世羅、お前が自分で手を上げたんだろ? 好きなアイドルの曲を昼休みにかけるんだって言って」
「だって、せっかくのお昼休みくらい……いい曲聴きたいじゃん」
「ただし、お前がかけたい曲に対してGOサインが出ればいいけどな」
「なによ! 別に歌詞がエッチな訳じゃないんだから、いいでしょ!」
「いやいや、リクエストを募集しろよ。下駄箱の近くに。募集箱を置く許可は出してやるから」
呆れたように頭を降りながら、拓真は廊下へと先に行ってしまった。