きみに ひとめぼれ



「坂井さん」



その声を聞いて、胸が張り裂けそうになる。

俯いていてもその声の主が誰かわかった。

でも、今は前を向けない。

眉間のあたりがだんだん痛くなってきて、涙が出そうになる。



「なに?」



私の声はきっとぶっきらぼうで可愛くない。

そんな風に言いたくないのに。



勝見君は、何も悪くないのに。



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