きみに ひとめぼれ
先生の合図でテストが始まった。
数学のテスト。
どこから埋めていいのかも、私の頭ではわからない。
しばらくしても、解答欄は埋まらない。
はーっと息を吐いて前を見ると、勝見君は頬杖をついてぼんやりと窓の外を見ている。
余裕なのか、それとも私と同じように諦めているのか。
長袖カッターシャツの袖を折り曲げたところからのぞく腕は細かった。
でもいい感じに筋肉質で、血管がうっすら浮き出ていて、思わず見惚れてしまった。
そこでふと気づく。
__あ、襟がおかしい。
勝見君のカッターシャツの襟が、首元でおかしな向きに折れ曲がっている。
__さっきふざけてたからなあ。