君のとなりで恋をします。─下─
「俺は…お前だから、諦めたんだ。
お前なら、絶対にあいつを幸せにすると思ったから…」
そう言った桜河の表情はどこか悔しそうで、声は少しだけ震えていた。
「お前があいつを傷つけるなら…
…俺ももう、遠慮しない。」
そして今度は、俺の目をしっかりと見据えて、堂々と言った。
「────…俺、香純が好きだ。
…ガキの頃からずっと。」
初めて聞かされた桜河の本音。
…だけど、不思議と驚きはなかった。
きっと桜河の気持ちには、心のどこかで気づいていたんだと思う。
桜河が香純に対して向ける目は、他とは比べ物にならないくらい優しい。
…今まで、気付かないフリをしていただけなのかもしれない。