君のとなりで恋をします。─下─
「ちょ…何?」
ぎゅむっと私の両頬を潰す桜河を睨む。
「フッ……ぶっさいく。」
小さく笑う桜河に、きゅっと胸が締め付けられた。
もう…
相変わらず、不器用なんだから。
桜河は、昔から私の感情の変化にすごく敏感だ。
もしかしたら、私自身よりも…
私の頬をむにむにと押し潰して遊ぶ桜河に、私も笑った。
「アンパ○マンみたいで可愛いでしょ?」
「は?…ア○パンマンに失礼だろ。」
「はー?何をー!?」
人の顔を見て鼻で笑う桜河の頬を、私も摘み返してやる。
すると負けじと桜河も、私の頬を押し潰す力を強めてくる。
「桜ちゃん、香純!
もう、喧嘩しないのつ!」
少しだけ頬をプクッと膨らませてそう言う咲花。
咲花にこんなに可愛く怒られたら、やめないわけにはいかない。
私と桜河は、どちらからともなくそれぞれの手を退ける。