君のとなりで恋をします。─下─
私は、先週正式に退部届けを提出しに行った。
顧問の先生は、「戻りたかったらいつでも戻ってきなさい」と言ってくれたけど…
あらだけチームを揉ませてしまって、戻れるわけなんてない。
それに、もうマネージャーは私一人だけじゃないから…
「…お前、家庭部に入んの?」
ヨシ子ばあちゃん特製の卵焼きを頬張りながら、そう尋ねる桜河。
「うん。今のところそのつもり。」
「お前、料理できたっけ?」
「できるよ!…レシピ見れば。
この間だって、レモンのはちみつ漬け作ってあげたでしょ?」
「あれはレモン切るだけだろ。」
まったくこいつは…
こんな時はすぐに突っかかって来るんだから…
言い返すことを諦めて、お弁当のウィンナーを口に運ぶ。
すると今度は、まるで私と桜河の言い合いが終わるのを待っていたかのように葵斗が口を開く。