君のとなりで恋をします。─下─
「はぁ…
私、家庭部には入らない方がいいのかな?」
「そんなことないよ!
他の子達はみんな香純が入部するのにも結構肯定的だよ?
…あの二人も、きっと話せばわかってくれると思うし!」
〝大丈夫だから〟と私を励ます咲花に、私もできる限りの笑顔を見せた。
正直、今日の出来事には堪えたな…
あんなにあからさまに悪態をつかれると、さすがに辛い…
あー…やばい……
滲んできた涙をぐっと堪えたその時…
「─────…成宮さん!!」
聞き覚えのあるその声に顔を上げる。
なぜか胸が嫌な音を立てた。
「…市原くん……」
校門の前に立つ彼に、部活終わりの生徒たちは好奇の目を向ける。
彼は身長も高くて目立つ。
もともと有名なバスケットボール選手である上に、あの騒動によってうちの学校ではさらに時の人となった彼。
そんな彼が今、私の名前を呼んだ。
私と市原哲平が一緒にいるというこの状況は、生徒たちの興味を煽るには十分だった。