君のとなりで恋をします。─下─
「成宮さん、大丈夫ですか?
…予選の時、紅羽のベンチに成宮さんの姿が見当たらなかったから気になって…」
心配そうにこちらに駆け寄る市原くん。
だけど私の耳に入ってくるのはそんな彼の声ではなく…
「え、あれって…あの写真の?」
「あれって聖陵の制服だよな!?
わざわざうちの学校まで来るって…」
「じゃあ、あの三股疑惑ってマジじゃん!」
周りの声がやけにはっきりと聞こえる。
心臓が低く脈打って、足がすくむ。
「…何か、注目されてます…?」
「あ、いや。大丈夫…」
小さな声でそう言うことしか出来ない私を庇うように、咲花が1歩前に出る。