君のとなりで恋をします。─下─
「帰ってください!」
「え…?」
「香純のことを思うなら、今すぐ帰って!」
普段の咲花からは考えられないほどの刺々しい声。
状況が全く飲み込めない市原くんは、突然怒鳴られて明らかに戸惑っていた。
「…咲花。落ち着いて…。」
「落ち着けないよ!
だって…また香純が傷つくんだよ!?」
瞳に涙を浮かべながらさらに声を荒らげる咲花の手を、私はぎゅっと握った。
「…私の事、心配してくれてるんだよね…。
ありがとう、咲花。
でもね、市原くんは何も悪くないんだよ?」
本当に、彼は何も悪いことはしていない。
あの写真の原因も、ボケっとしていた私を庇ってくれただけ。
今ここにいるのも、私を心配してくれたからで…
何もかも、全部彼の優しさなんだ。