君のとなりで恋をします。─下─
「やっばー!修羅場!?」
「俺、こんなの初めて見た!」
やだ…どうしよう…
下を向くことしか出来ない私。
「えっと…すみません。
急に来て迷惑でしたよね。帰ります。」
そんな私の様子と周りの異様な空気を察してか、市原くんは静かに告げる。
そして踵を返した彼を、柊吾が呼び止めた。
「…市原。」
「…ん?」
「…何があったかは今度俺が説明するから…
もう、学校まで訪ねてこないでほしい。」
「あぁ。そうするよ。」
柊吾の言葉に、市原くんは最後にぺこりと私に一礼した。
その彼の表情は、なんだか切なげだった。
小さくなっていく背中を私はただじっと見つめることしか出来なかった。