君のとなりで恋をします。─下─
「…香純。」
桜河は私たちの後ろにいる二人の姿を横目で確認すると、掠れた声で私の名前を呼んだ。
「ん?」
「…コーヒー飲みてぇ。買ってきて。」
「はー?そこに自販機あるじゃん。
自分で買いなよ。」
「ちゃんとした店のコーヒーがいいんだよ。
…お前らも何か好きな物買っていいから。」
そう言って自分の財布を差し出す桜河。
「え、いいの?やったね!」
報酬付きなら、行ってやらないことも無い。
少し寒いし、温かいいちごミルクが飲みたかったんだよね。
それに、やっぱりまだ柊吾と桃奈さんと同じ場所にいるのはいい気分ではないし…
「…行こ、咲花。」
「え、うん。」
私は咲花の腕を引いて、駅の反対側にあるコーヒーショップへと向かった。