君のとなりで恋をします。─下─
「柊吾と香純の関係も、あの日香純が市原に会いに行くことも…
知ってたのは、俺たちか…お前だけなんだよ。」
何も言わずにこちらを睨む女と、俯いて何を考えているのかわからない柊吾。
柊吾の気持ちが、俺には分からない。
たぶん柊吾は、誰に対しても優しすぎるだけなんだと思う。
…でもその優しさが、結果的に香純を傷つけていることにも気づいているはず。
…そんな女のために、好きな奴を傷つけて……
まじで何がしてぇんだよ…。
「…まぁ、俺の話はそれだけだから。」
俺はそれだけ言い残して二人の元を離れた。
それ以上そこにいても、イライラして自分の感情を爆発させてしまいそうだったから。
それに、今の会話で疑惑は確信に変わった。
間違いなく、あいつはクロ。
その確信が得られただけで、今は十分だ。
香純を傷つけた代償は、いつか必ず払ってもらう。