君のとなりで恋をします。─下─
「…あれ?桜河?
なんでここにいるの?」
駅の方まで戻ると、ドリンクを手に持った香純と咲花に遭遇する。
「あー…寒かったから。
…それ、俺の?」
「はい。ホットで良かったんだよね?」
「あぁ。さんきゅ。」
香純からの問いを誤魔化して、コーヒーを受け取った。
「あっ!バス、行っちゃう!!走ろう!」
「こんなの持ったまま乗れねぇだろ。
もう一本後のバスで帰ろうぜ。」
「…それもそっか。
1時間なんて、喋ってればすぐだよね。」
適当な理由を付けて、香純をその場に留めらせた。
香純を、あの二人と一緒に居させたくなかった。
傷つけたくないとか、泣かせたくないとか…
香純のためなんかじゃない。
…本当は俺が、香純と柊吾が一緒にいるところを見たくなかったんだ。