君のとなりで恋をします。─下─
「……好きだ。」
今まで堰き止めていた想いが、ようやく喉を通って吐き出される。
昔から、香純のことだけを見ていた。
だからもちろん、香純がずっと誰を想っているのかも知っていた。
柊吾も香純のことを想っているなら、俺は彼女の幸せを祈ることしか出来ないと思っていた。
…だけど、もう無理だ。
柊吾に、香純を渡したくないと…
自分の手で彼女を幸せにしてやりたいと思ってしまったのだから。
「もう、急に何?
私も好きだけどさ…今さら照れるじゃん。」
いつもと変わらない様子でそう言う彼女。
笑いながら俺の腕から抜け出そうとする彼女を、もう一度力強く引き寄せる。
「…ちょっ……」
「…違ぇよ。」
「え…?」
「───…俺は今まで一度も、お前を幼馴染みとして見たことなんてねぇんだよ。」