君のとなりで恋をします。─下─
第五章
3年、春
月日は過ぎ去り、季節は春。
私たちは今日から高校3年生です。
新しいフロア。
賑わう掲示板周辺で、私たちは自分の名前を探す。
「…あった?名前。」
背後から私の頭に顎を乗せる桜河に、心臓がドキリと跳ねる。
「んー、今探し中。」
「俺が代わりに見てやろうか?」
「ばーか。
自分で探すのが楽しいんじゃん。」
あの日の夜、桜河からの告白。
あの後、驚きのあまりただ呆然とする私に、彼は「別に返事とかいらねぇから」と笑った。
あれから数ヶ月の月日が経ったけど、何も変わらない私たちの関係。
…いや、正確にはそう見えるだけ。
いつもと変わらないはずの桜河の行動や距離感に、イチイチ反応して意識してしまう自分がいる。