君のとなりで恋をします。─下─
「──────離してよッ!!」
彼女の手を思い切り振りほどく。
「え…?」
すごく傷ついた表情。
…分かってる。
香純は何も悪くない。
誰も何も悪くないのに…
だからこそ、このもどかしさをどこにぶつけていいのかわからなかった。
今にも泣きそうなほど顔を歪める彼女を見ていると、自分の醜さを思い知らされる。
だから、これ以上ここにはいたくなかった。
これ以上香純と話したら、もっと傷つけてしまうような気がした。
「さ、な……」
震える声で私の名前を呼ぶ彼女から顔を背けて、何も言わずにその場を立ち去った。