君のとなりで恋をします。─下─
「…帰り、あんまり遅くならないようにね。」
「うん。大丈夫だよ。」
心配する柊吾に手を振り、教室を飛び出そうとしたその時…
「────…香純ー。」
反対側の扉から聞こえた葵斗の声に立ち止まる。
「…よかったな!咲花、来てる!」
え…?
あんなに避けられてたのに…急になんで?
疑問に思いながら葵斗の方に向かうと、そこには確かに咲花がいた。
控えめにこちらの様子を伺う咲花に、私は一度ゴクリと唾を飲み込む。
「…香純……。
今日、これから話せるかな…?」
「え、あっ!うん!」
どんな話をされるのかすごく不安だけど…
でも、それ以上に嬉しかった。
教室を出る間際、私はチラリと柊吾がいる方を見る。
優しくこちらを見つめながら口パクで〝頑張れ〟という柊吾に、私はガッツポーズを向けた。