君のとなりで恋をします。─下─
「…桜河。」
小さめのエナメルバッグを肩にかけた、制服姿の桜河がこちらを見据える。
「…なんか、目赤くね?」
私の顔をじっと見つめる桜河に、私は思わず自分の顔を腕で隠す。
「…泣いた?」
「別に、泣いてないよ。」
「嘘つけ。
…誰かに何かされたか?
柊吾?それともあの女?」
顔を隠す私の腕を解きながら、眉間に皺を寄せてそう言う桜河。
まったく……相変わらず心配性なんだから。
「本当に何ともないんだよ。」
桜河の眉間に指を当てて笑うと、彼は腑に落ちない顔で黙り込んだ。