君のとなりで恋をします。─下─
「大会、今週末だっけ?」
「あぁ。」
「こっそり応援に行くね。」
「…〝こっそり〟の意味わかってんの?」
小さく笑う桜河だけど、その表情はどこか暗かった。
私はそっと彼の頭に手を伸ばす。
その茶色い髪の毛を数回撫でると、桜河は一瞬驚いたような顔をして…
そしてゆっくりと首を傾けて、甘えるように私の肩に頭を乗せる。
「…もしかして、緊張してる?」
「…悪ぃかよ。」
珍しく素直な桜河に内心驚きつつも、私は彼を安心させるように笑って…
そして桜河の手を取り、手のひらの真ん中をゆっくりと押す。