君のとなりで恋をします。─下─
「…何してんの?」
「ここ、緊張を和らげるツボなんだって。」
「ふーん?」
興味無さそうな返事をする桜河だけど、されるがままの手のひらを見るその表情はさっきよりも柔らかい。
「緊張するってことは、それだけ真剣に練習してきたってことでしょ?
…大丈夫。私はあんたが頑張ってきたこと、ちゃんと知ってるから。」
最近の桜河は、まさに練習の鬼だった。
…いや、違う。最近だけじゃない。
桜河は昔から、何だかんだ水泳には真っ直ぐに向き合っていて…
私はそれをずっと近くで見てきたから。
高校最後の大舞台も、きっと上手くいくって信じてる。