君のとなりで恋をします。─下─
「ねぇ、次影山くんが泳ぐみたいだよ。」
「キャ〜。腹筋やばっ。」
私たちの少し前に座る女の子達から、そんな声が聞こえる。
うちの制服に身を包んだ女の子たちは、頬を赤らめながら桜河の方にスマホを向けていて…
え…?何??
桜河のファン??
〝狂犬〟と恐れられるあの桜河に、女の子のファンが…!?
あんぐりと口を開ける私に、咲花はクスリと笑う。
「昨日の桜ちゃん、すごかったもんねー。
アンカーで3人ごぼう抜き!」
確かに昨日のリレーはとても興奮した。
アンカーの桜河にバトンが渡る時には、うちの学校は5位で…
誰もが入賞を諦めていたその時…
桜河が光の速さでみるみる追い越していって…
結果は2位。
誰がどう見ても、昨日のフリーリレーのMVPは影山桜河だった。