君のとなりで恋をします。─下─
「───…桜河っ!!いけーー!!」
その数秒後、桜河の手がプールサイドに着く。
ほぼ同着だった。
私達から見た角度では、どちらが速かったかなんて全くわからない。
きっと、どちらが勝ったと言われても全くおかしくない程の僅差。
だけど、電光掲示板に映し出された文字は…
〝 1 影山桜河 紅羽学園 〟
2位との差は、わずか0.2秒だった。
まさに、奇跡の大逆転。
水中で大きくガッツポーズをする彼の姿に、観客席からは大きな声援が上がった。
珍しく感情を爆発させて喜ぶこの日の桜河の姿を、私は一生忘れないと思う。