君のとなりで恋をします。─下─
「…あれ?柊吾ー。香純ー。
もう出てきていいって。」
葵斗の声で我に返った。
何やってんの……
…こんなのダメだよ!
私は目一杯の力で思い切り彼の体を押し返して、慌てて布団の中から出る。
布団の中のモワッとした空気と彼の熱から同時に解放され、肌に触れる部屋の空気がやけに冷たく感じた。
「あれ?香純ちゃん、どうしたの?
顔真っ赤だよ。」
「え!?
…あー……布団の中が暑くて…」
私の顔を覗き込むまるちゃんに、私は必死で笑顔を作った。
できるだけ自然な笑顔で、できるだけ自然な声で…
まっつんにも葵斗にもまるちゃんにも…
…そして、柊吾にも……
今のこの動揺を悟られたくなかった。